【コラム】
以前、ウインドサーフィンの大会で惨敗した話を書きましたが、勝利の美酒を味わうことがないわけではありません。
北海道の小樽から車で三十分くらいの距離にある「銭函」というビーチで行われたレースで、どういう訳か、最高記録を出してしまったのです。
すると民宿のおばちゃんが「お祝いに石狩の町で好きな食材を買ってきて、私が作ってあげよう」と言って、われわれを市場へ連れて行ってくれたのです。
そこで見たものは、巨大なホヤ貝。両手を合わせて膨らませたくらいの大きさです。
普通ホヤ貝はかなり磯くさく、苦いものであるため、よほど癖のある味が好きな人でなければ食べられません(十人中二、三人くらいのものです。)
しかし、その巨大ホヤは癖が全くなく、包丁で切れ目を入れるとそり返るぐらい、鮮度のいいものでした。
口の中に漂う甘い香りと、レースでの充実感が、いつまでも記憶に残りました。
0:戻る